融資以外の”言語化されない経営課題”に出会う。セカマチが山梨信用金庫の本業支援を加速。
公開日:2026/02/17

「融資以外の支援に力を入れたいが、事業者様のニーズが拾いづらい」
「言語化される前のニーズにアプローチしたいが、聞き出すのが難しい」
そんな悩みを抱える金融機関も多いのではないでしょうか。
本記事で取り上げる山梨信用金庫様は、成長加速マッチングサービスを活用して、融資以外の本業支援を求める事業者様に効率的にアプローチをされています。
実際の面談事例や、どのように”言語化される前のニーズ”を抱えた事業者様にコンタクトをとっているのか、インタビューしました。
成長加速マッチングサービス「セカマチ」とは
インタビュイー紹介
支援者紹介:山梨信用金庫 企業サポート部 経営コンサルティング課 主任調査役 樋泉 進様 村松 えり子様
山梨信用金庫山梨信用金庫は、山梨県全域、神奈川県相模原市、東京都町田市・八王子市を事業地域とする金融機関です。「Face to Face」によるきめ細かな渉外活動をはじめ、お客様のニーズに合った金融商品や相談サービスの提供により、地域活性化を目指し中小企業ならびに住民の皆様の繁栄をサポートしています。
目次
導入のきっかけ
「支店ヒアリングだけでは拾いきれない既存顧客の課題を知る」
― 成長加速マッチングサービスを導入されたきっかけを教えてください。
一般社団法人全国信用金庫協会からの案内を通じてサービスを知り、その後中小企業庁が開催したオンライン説明会で概要を把握しました。
当金庫では、営業店から経営課題を共有してもらう仕組み(相談シート等)があります。ただ、支店ヒアリングだけで、すべての事業者の課題を十分に把握できているとは限りません。融資の相談が表に出ていない段階の悩みや、支店ヒアリングだけでは見えにくい課題にも、もう少し早い段階で出会えないかと感じていました。
より幅広く事業者の経営課題を知る手段として、成長加速マッチングサービスの活用を決めました。
導入までの流れ
「本部でのサービス利用の周知と浸透を行った」
― 導入まではどのような流れで進めましたか。
オンライン説明会で得た内容をもとに課内で起案し、当金庫として決裁を取りました。決裁が取れたのは令和7年3月31日付で、登録完了と利用方法について全店に事務連絡を発信しました。
一方で、当金庫ではセキュリティの都合上、営業店で外部メールを受信できない状況があり、サービスからの通知メールは本部でしか受け取れません。そのため現状は本部中心の運用になっています。導入初期は、この点について支店への周知に気を使いました。
成果と実感
「面談をきっかけに、幅広い支援につながる」
― 実際にどのような成果が出ていますか。
これまでに複数の事業者と面談につながっています。
その一つが、ものづくり補助金の申請を進めている事業者とのケースです。
補助金採択時のつなぎ資金に加え、不採択の場合も含めた融資の可能性について相談が進み、決算書を持参して来店してもらう流れになりました。
補助金をきっかけに、事業計画や資金計画を含めた具体的な相談につながっています。
― 他に、印象に残っている事例はありますか。
新規事業として民泊事業を検討している事業者との面談が印象に残っています。
不動産業を営む事業者が、富士山周辺・都留市エリアでのインバウンド需要の高まりを背景に、民泊事業を構想していました。
宿泊事業の経験はないものの、地域を活性化したいという思いがあり、事業として成立するのか、資金面や許認可も含めて相談したいという内容でした。
一方で宿泊事業のノウハウがなく、専門家のアドバイス、資金面、集客、必要な許認可などを含めて相談したいというニーズがありました。このケースでは、たまたま支店長の実家が民宿を営んでいたこともあり、現場の知見を踏まえた具体的なアドバイスにつながりました。たとえば、民泊には年間の営業日数の上限(180日)に関する制約があること、簡易宿泊所としての許可取得や保健所対応など、許認可の論点が奥深いこと、地域によっては自治会長の押印が必要になること等です。
また、海外の宿泊予約サイト(Booking.com、Expedia等)との連携を視野に入れる事業者も多いこと、和室に布団といったスタイルが外国人に受け入れられているという肌感覚など、事業化のイメージが湧く情報も共有しつつ、借入規模や計画の妥当性も含めて伴走しています。
活用の実態
「支店と協議しながら、本部でコンタクトを送信」
― 実際には、どのように活用されていますか。
現在は、本部で「山梨県内」の条件で課題を確認し、対応できそうなものがあれば、担当エリアの支店長と共有したうえで協議し、コンタクトを送っています。本部だけで判断せず、地域や事業者をよく知る支店の意見を踏まえて進める形です。
挑戦課題のカテゴリ(資金調達だけ、など)で絞り込むことは基本的にしていません。売上規模等も過度に絞らず、課題内容を見ながら「当金庫として本当に支援できるか」を重視しています。
また日々の事業者の確認は、条件に合致した新しい課題が出た際に届くメール通知をきっかけに行っています。まず全体を見て一定数のコンタクトを送った後は、「新しく入ってきた課題」に都度対応しています。
サービスの価値
「新規・既存を問わず、課題起点で関係を深められる」
― 成長加速マッチングサービスの価値をどう感じていますか。
一番に感じているのは、取引がほとんどない事業者や、まったく新しい事業者に対しても、課題が明確な状態でアプローチできる点です。資金ニーズの有無が見えないままの新規開拓に比べ、事業者が自ら登録した情報を起点に会話ができるのは大きいと感じています。
また、既存先であっても、これまで把握できていなかった経営課題に気づくきっかけになります。事業者側は「金庫に相談しても難しいのでは」と胸の内に抱えているテーマもあると思うので、こうした形で“言語化された課題”として出てくること自体が、深耕の入口になります。
他方で、当金庫でもAIを活用した「しんきんDB」を導入しており、口座の動きから「新しい取引先から入金があった」「決算期が近いので納税資金を確認した方がよい」といった提案は得られます。ただ、こうしたツールでは“見えない経営課題”そのものを把握するのは難しい面があります。その点、成長加速マッチングサービスは、資金調達だけでなく本業支援に関わる情報まで得られるため、有効に利用していきたいと考えています。
今後の期待
「事業者の行動を後押しする“最初の一歩”として」
― 今後は、どのように活用していきたいですか。
ものづくり補助金などの加点要件としての活用も含め、事業者に対して成長加速マッチングサービスをより積極的に紹介していきたいです。補助金はどうしてもお客様からの相談を受けて動く“受け身”になりがちですが、こちらから情報提供し、計画策定や資金計画の支援につなげられるようにしていきたいと考えています。
また、営業店で外部メールを受け取れない制約がある中でも、可能な範囲で支店と連携しながら、支援の幅を広げていきたいです。たとえば支店では、支店長と営業担当でミーティングを行い、どの先にアプローチするかを検討しています。本来は、こうした場面でも成長加速マッチングサービスの情報を活かせると、より一層の活用につながると感じています。
成長加速マッチングサービスとは
中小企業庁が運営する成長加速マッチングサービス(通称:セカマチ)とは、成長志向の事業者と支援者をつなぐオンラインのマッチングプラットフォームです。
事業者は「資金調達・事業承継・経営相談」といった挑戦しようとしている課題を登録し、支援者(金融機関や認定支援機関等)から面談の申し出(コンタクト)を受けられます。事業者が申し出を許諾することでマッチングが成立し、課題解決に向けた面談へと進みます。
金融機関にとっては、地域企業との新しい接点を築き、ニーズに応じた最適な出会いを実現できる点が大きな特徴です。
サービスの役立つポイント
事業者に役立つポイント
●取り組みたいテーマ(挑戦課題)に対して、解決可能な支援者から直接コンタクトを受けられる
●金融機関、投資機関、認定経営革新等支援機関など、国が認めた支援機関のみが登録しているため安心
●情報公開する支援者の範囲を選べるため、希望する支援者に限定してアプローチを受けられる。
支援者に役立つポイント
●中小企業庁の運営するサービスで安心
●約40,000社の事業者が登録しており、無料でコンタクト可能
●事業者の財務データや基本情報に加え、事業者の取り組みたいテーマ(挑戦課題)の具体的な内容を確認できる
●市区町村レベルでの事業者検索や、事業者が取り組みたいテーマ(挑戦課題)の種類(資金調達/事業承継/経営相談)の検索が可能で、自身の専門性に合った事業者に出会える

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