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保険の枠を越えて、企業の「本業」を支える。東京海上日動が挑む、新たな経営支援

支援者インタビュー

公開日:2026/10/30

保険の枠を越えて、企業の「本業」を支える。東京海上日動が挑む、新たな経営支援

企業が抱える課題は、事故や災害といったリスクだけではありません。
人材不足、DX、生産性向上、働き方改革、事業承継――。特に地域の中小・中堅企業では、経営を取り巻く課題が複雑化しています。
こうした変化を受け、保険という従来の枠を越え、企業が抱える経営課題の解決を支援しているのが、東京海上日動火災保険株式会社です。
同社では現在、事業者が登録した経営課題を起点に支援先を探すことのできる「成長加速マッチングサービス(以下、セカマチ) 」を活用し、新しい企業支援のあり方を模索する実証実験(PoC)を進めています。
今回は、東京海上日動火災保険株式会社 公務開発部の皆様に、セカマチを活用し始めた背景や具体的な運用方法、企業への支援内容、そして今後の可能性について伺いました。

インタビュイー紹介

東京海上日動火災保険株式会社 公務開発部 青池 秀人 様 池尻 匠吾 様 新井 丈司 様(兼任・地域部店所属) 亀井 航平 様(兼任・地域部店所属) 山内 裕美子 様(兼任・地域部店所属)

東京海上日動火災保険株式会社

1879年に日本初の保険会社として創立された東京海上保険会社を源流とし、2004年に東京海上火災保険と日動火災海上保険が合併して誕生した損害保険会社。全国に広がる営業網を通じて、企業や個人のリスクに備える保険を提供しています。 近年は保険にとどまらず、人材不足や事故削減、DX、働き方改革など、企業の経営課題に向き合う課題解決支援に注力。公務開発部が中心となり、セカマチを活用した実証実験(PoC)に取り組んでいます。

目次

  1. 保険を提供するだけではなく、企業が抱える経営課題の解決を支援する
  2. 「企業が抱えている課題から探せる」ことが、セカマチ活用のきっかけに
  3. 本店で企業を抽出し、地域部店につなぐ。組織的な活用モデルを構築
  4. 特に物流・運送業では、経営課題から入ることでさまざまな提案が可能に
  5. 安全研修からロボット導入まで。「保険会社だから保険を提案する」とは限らない
  6. 課題解決から始まることで、企業との関係そのものが変わっていく
  7. PoCから全国へ。セカマチを通じた課題解決支援の可能性
  8. 支援者と企業が、「課題」を起点につながる社会へ
  9. 成長加速マッチングサービス「セカマチ」とは
  10. サービスの役立つポイント

保険を提供するだけではなく、企業が抱える経営課題の解決を支援する

――まず、東京海上日動が現在取り組まれている企業支援について教えてください。
青池様:
私たちは現在、単に保険を販売するだけではなく、企業が抱える経営課題そのものを解決する「課題解決支援」に力を入れています。
約5年前の制度改正を背景に、保険会社が提供できるサービスの幅は広がり、コンサルティングなどの事業についても取り組めるようになりました。
そのため現在は、従来の保険商品だけではなく、お客様の経営課題に合わせてさまざまなソリューションを提供しています。
例えば運送業のお客様であれば、ドライバー不足という課題に対する人材関連の支援や、安全研修のe-learning、働きやすい職場認証制度の取得支援などがあります。
お客様が困っていることに対して、「保険で何ができるか」だけではなく、「その経営課題を解決するために何ができるか」というところから考えるようになっています。

「企業が抱えている課題から探せる」ことが、セカマチ活用のきっかけに

――その中で、なぜセカマチを活用しようと考えたのでしょうか。
青池様:
企業の課題解決支援を進めていく中で、セカマチでは事業者が抱えている経営課題を確認できるというところに魅力を感じました。
一般的な営業活動では、まず企業を探し、面談をして、その中で初めて課題を聞いていくことになります。
一方でセカマチの場合は、事業者自身が「今、どんなことで困っているのか」を登録しています。
私たちが提供できるソリューションと、企業が抱えている課題をあらかじめ照らし合わせることができる。
そこが非常に大きな特徴だと感じています。
現在は、リスクマネジメントや課題解決支援につながる新たなアプローチ手段として、実証実験という位置づけで活用しています。

本店で企業を抽出し、地域部店につなぐ。組織的な活用モデルを構築

――現在、社内ではどのような体制でセカマチを運用されていますか。
青池様:
約1年前から、公務開発部が中心となってPoCを進めています。
現在は、複数の地域部店と連携しながら運用しています。
特徴的なのは、各地域の営業担当者がそれぞれ自由にセカマチを操作するのではなく、本部側である程度コントロールしていることです。
まず、公務開発部がセカマチ上で業種や売上規模などの条件から企業を抽出します。
そのリストを各地域部店へ共有し、地域部店側で「この企業にアプローチしたい」という候補を選定してもらいます。
その後、本店からセカマチ上でコンタクトを送り、マッチングが成立した後に地域の営業担当者がお客様と具体的なやり取りをしていく、という流れです。

――本店と地域部店で役割を分けているのですね。
青池様:
そうですね。
全国に営業担当者がいますので、最初から全員が個別に運用すると、アプローチの仕方や提案内容がばらばらになってしまう可能性があります。
まずは本部で一定の基準をつくりながら運用し、どのような企業に、どのようなアプローチをすると成果につながるのかを検証しています。

特に物流・運送業では、経営課題から入ることでさまざまな提案が可能に

現在、東京海上日動では物流・運送業を中心に、主に売上10億円から100億円規模の企業へのアプローチを強化しています。
――なぜ、この規模の企業や物流・運送業を中心にされているのでしょうか。
青池様:
一定規模以上の企業になると、人材不足やDX、生産性向上といった経営課題に共通する部分が多くなってきます。
特に運送業では、ドライバー不足や事故削減、働き方改革など、業界全体としてさまざまな課題があります。
私たちが持っているソリューションとの親和性も高いと考えています。
例えばコンタクトを取る際も、単に「東京海上日動です」と伝えるのではなく、「ドライバー不足について支援できます」「事故削減について支援できます」「適正運賃や運賃交渉について支援できます」といった具体的なテーマを提示するようにしています。
最初から課題を明確にすることで、お客様にも「自社に関係のある話だ」と感じてもらいやすくなります。
また、最初から訪問をお願いするのではなく、「まずはオンラインで30分ほどお話ししませんか」といった形で、面談へのハードルを下げる工夫もしています。

安全研修からロボット導入まで。「保険会社だから保険を提案する」とは限らない

――実際にマッチングした企業には、どのような支援を行っているのでしょうか。
青池様:
例えば運送会社であれば、安全会議やe-learningによる研修、自動点呼をはじめとするロボット・システムの導入、働きやすい職場認証制度の取得支援など、さまざまな提案を行います。
必要に応じてGLTD(団体長期障害所得補償保険)のような保険商品をご提案する場合もありますが、最初から保険ありきではありません。
まずはお客様が抱えている課題を解決することが先です。
また、私たちだけでは解決できない課題については、コンサルティング会社などの提携先とも連携しています。
お客様の課題に対して、自社だけで完結させるのではなく、必要な専門家やサービスをつなぎながら解決していくことも、東京海上日動が進める課題解決支援の一つだと考えています。

課題解決から始まることで、企業との関係そのものが変わっていく

従来、保険会社と企業の接点は、保険契約や事故対応などが中心でした。
しかし、課題解決支援では入口が異なります。
「人が採用できない」
「事故を減らしたい」
「DXを進めたい」
「より働きやすい職場をつくりたい」
こうした経営者の悩みから対話が始まります。
企業の課題に寄り添い、必要な解決策を一緒に探していくことで、これまで以上に深く継続的な関係を築くことにもつながります。
セカマチは、その最初の接点となる「企業の課題」を見つけるツールとして活用されています。

PoCから全国へ。セカマチを通じた課題解決支援の可能性

現在は公務開発部を中心としたPoCとして進められている、東京海上日動のセカマチ活用。
まずは本店が運用をコントロールしながら、企業の抽出、地域部店との連携、コンタクト、提案までのモデルを検証しています。
今後、活用方法が確立されれば、各支店での運用など、さらに大きな展開へ発展していく可能性もあります。
保険会社が持つ全国のネットワーク。
企業が抱える経営課題。
そして、それぞれの課題解決を支援するソリューション。
それらをつなぐことで、従来の保険の提供にとどまらず、企業の持続的な成長を支える存在へ。
東京海上日動が進めるセカマチのPoCからは、金融・保険業界における新しい中小企業支援の形が見え始めています。

支援者と企業が、「課題」を起点につながる社会へ

セカマチの特徴の一つは、サービスを売りたい支援者と企業を単純につなぐことではなく、まず「企業が抱えている課題」から出会いをつくることです。
東京海上日動の取り組みは、その特徴を活かした一つの活用モデルと言えます。
自社の商品から考えるのではなく、
「この企業の課題を解決するために、自分たちに何ができるか」
から考える。
そして、自社だけで解決できなければ、必要な専門家やパートナーとも連携する。
こうした支援の輪が地域や業界を越えて広がっていくことで、中小・中堅企業が必要な支援者と出会える機会は、さらに増えていくのではないでしょうか。
東京海上日動によるセカマチ活用は、まだ実証実験の途中です。
だからこそ、ここからどのような企業との出会いが生まれ、どのような課題解決につながっていくのか。
今後の展開にも注目です。

成長加速マッチングサービス「セカマチ」とは

成長加速マッチングサービス、通称「セカマチ」は、新たな挑戦や成長を目指す事業者と、その課題を支援できる金融機関や認定支援機関などをつなぐオンラインのマッチングサービスです。
事業者が資金調達、事業承継、経営相談などの挑戦課題を登録し、その内容を確認した支援者が面談を申し込みます。事業者が承諾すると、マッチングが成立します。
東京海上日動のように、登録された課題を見てから「自社なら何ができるか」を考え、テーマを絞って声をかけるのも、セカマチならではの使い方です。
支援者にとっては面談を重ねる前に企業の課題を知る手段に、事業者にとっては思いがけない分野の支援者から解決の糸口が届くきっかけになります。

サービスの役立つポイント

事業者に役立つポイント
●取り組みたいテーマ(挑戦課題)に対して、解決可能な支援者から直接コンタクトを受けられる
●金融機関、投資機関、認定経営革新等支援機関など、国が認めた支援機関のみが登録しているため安心
●情報公開する支援者の範囲を選べるため、希望する支援者に限定してアプローチを受けられる。

支援者に役立つポイント
●中小企業庁の運営するサービスで安心
●約50,000社の事業者が登録しており、無料でコンタクト可能
●事業者の財務データや基本情報に加え、事業者の取り組みたいテーマ(挑戦課題)の具体的な内容を確認できる
●市区町村レベルでの事業者検索や、事業者が取り組みたいテーマ(挑戦課題)の種類(資金調達/事業承継/経営相談)の検索が可能で、自身の専門性に合った事業者に出会える

サービスの仕組み
サービスの仕組み

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