人手不足の建設業に「100万人分の労働力」を。次に必要なのは顧客を持つ支援者
公開日:2026/10/30

建設業界の仕事を「人」で支えてきた株式会社NITACO。現場で蓄積した業務知識を武器に、今、新たにAIを活用した業務改革へと挑戦しています。目指すのは、深刻化する建設業界の人手不足を補い、私たちの「当たり前の暮らし」を未来へつなぐこと。その成長をさらに加速させるため、同社が求めている新たな出会いとは――。
インタビュイー紹介
株式会社NITACO 代表取締役 新田 顕大 様
株式会社NITACO2020年4月に株式会社NITACOを創業。建設業界に特化し、BPO(業務代行)サービス「ツクノビBPO」と、営業代行サービス「ツクノビセールス」を展開してきた。ツクノビBPOでは、積算代行や安全書類・施工計画書の作成、CAD図面の作成、建設事務の代行などを手がける。現在は、それらの事業を通じて蓄積した建設業務の知見をもとに、AIコンサルティング、研修、システム・プロダクト開発にも事業領域を拡大している。
ツクノビ | 建設業界の課題を解決する総合プラットフォーム
ツクノビツクノビは、人手不足に悩む建設会社が、足りない手を外から補うための総合窓口。今いる社員が本来の仕事に集中できるよう、専門スタッフによる業務代行に加え、AIや業務システムも組み合わせて、手が回らない仕事をサポートするサービスを整えている。元請け・協力業者のどちらでも利用でき、会社の規模や業種を問わず相談できる。Webメディア「ツクノビマガジン」では、現場の実務や会社経営に役立つ知識、業界の最新ニュースを発信し、日々の判断を支える情報源にもなっている。
目次
建設業を営んでいた祖父の背中。その記憶が、創業につながった
―まず、現在の事業内容と創業までの経緯を教えてください。
新田様:
現在は、建設会社向けのBPO事業をメインに、営業代行も行っています。最近はAI関連の問い合わせがかなり増えていて、AIコンサルティングや研修、実際のプロダクト開発なども行っています。
もともと祖父が建設業を営んでいたこともあり、昔から建設業界は身近な存在でした。ただ、最初から家業を継ごうと考えていたわけではありません。祖父は私が20歳くらいの頃に亡くなり、父も事業を継いでいなかったので、会社自体はそこで終わっていました。それでも、祖父が建設業をやっている姿を子どもの頃から見ていたので、どこか自分の中に残っていたんだと思います。新卒で入った会社では、M&Aに関する業務を担当しました。経営者の方々と話す機会が多く、そこで知り合った建設会社の社長に「独立したい」と話したことが、最初の仕事につながりました。「じゃあ仕事を取ってこい」と営業の仕事をいただいたのが始まりです。建設会社への営業支援からスタートし、顧客の売上が増えていくと、今度はバックオフィスの仕事も増えていく。そこで、そうした業務も代行するようになり、現在のBPO事業へ広がっていきました。
―さまざまな業界がある中で、建設業に取り組み続けている理由はどこにあるのでしょうか。
新田様:
大人になって改めてマーケットを見ると、建設業界はすごく巨大な市場なんです。それに、この業界のカオスなところが僕は好きなんですよね。中卒の人もいれば東大卒の人もいる。その中で、学歴に関係なく大きく成功する人もいて、いわば「ジャイアントキリング」が起きることもある。いろいろな人が入り混じっている業界です。
祖父の背中を見てきたことに加えて、そうした建設業界ならではの面白さにも惹かれて、今この業界で事業を続けています。
人が代行してきた仕事だからこそ、「AIに置き換えられる仕事」が分かる
NITACOのAI事業には、一つ大きな特徴があります。AIありきで事業を始めたのではなく、まず人が現場の業務を代行し、そこで蓄積した知識をもとにAI化を進めていることです。
―NITACOならではの強みは、どこにあるのでしょうか。
新田様:
これまで人が実際に業務を行うBPOを続けてきて、プロ人材も600名ほどいます。設計や積算、施工計画書の作成など、専門家でなければできない業務もたくさん請け負ってきました。安全書類やCAD図面の作成、事務作業の代行のご依頼も多いです。
建設業といっても、建築もあれば土木もありますし、建築の中にも設備などさまざまな領域があります。それぞれの業種・業態で仕事をしてきたので、「どこで困っているのか」「どんな課題ならお金を払ってでも解決したいのか」という知見が蓄積されています。そこはかなり強みだと思っています。だから、それらを一つずつAIに置き換えていけばいい。
新田様は、建設業界についての幅広い業務知識と、現場ごとの細かな課題を把握していることが、AI活用を進めるうえでの強みだと話します。一方で、すべてをAIへ置き換えればよいとは考えていません。判断や責任が伴う仕事、人の感情が関係する場面では、これからも人の存在が欠かせない。「人が担うべきところ」と「AIに任せられるところ」の両方を理解していること。それも、長くBPOに取り組んできたNITACOならではの強みです。
「何十時間もかかる単純作業」が残る。建設業界で高まるAIへの期待
建設業界では、人手不足が以前から大きな課題となっています。新田様が現場で感じているのは、単に人の数が減っているという問題だけではありません。
新田様:
建設の人が減っていますし、若手も少ない。ベテランの方も辞めていきます。そういう中で、AIへの関心はかなり高くなっています。例えば「積算」です。図面を見ながら、壁が何平方メートルあるか、床が何平方メートルあるか、建具が何個あるかといった情報を拾い出して見積もりを作っていく。
こうした作業に何十時間もかかることがあります。単純作業ではあるんですが、かなり時間がかかる。そこはAIが得意な領域だと思います。
しかし、「AIを使ってみたい」と「業務に実装できる」の間には、まだ大きな壁があります。
NITACOでは、社員自身がAIを使いこなすための研修を提供するだけでなく、企業側が使いやすいUIを設計し、業務そのものをシステムとして構築する支援も進めています。
その取り組みの一つが、建設業界の労働力不足や経営課題の解決を目指す総合プラットフォーム「ツクノビ」です。建設業に特化したAIコンサルティング、営業代行、BPO(積算代行、安全書類・施工計画書の作成、CAD図面の作成、事務代行など)を展開し、企業の業務改善を幅広く支援しています。
研修を通じて「これもAIでできないか」「あの業務も効率化できないか」と新たなニーズが生まれれば、そこからプロダクト開発へつなげる。現場を知るBPOから、業務改善、そしてAI開発へ。これまで培ってきた事業が、次の事業を生み出し始めています。

13人の組織から、100億円規模の会社へ
事業が広がる一方で、NITACO自身も次の成長段階を迎えています。インタビュー時点の組織は約13名。現在は新田様自身が複数の事業を管轄していますが、今後さらに会社を成長させるためには、それぞれの事業を任せられる責任者を育てていかなければなりません。
新田様:
既存事業をどう伸ばしていくかは、今かなり考えています。今は僕が全部の事業を見ていますが、事業部長のような人材をしっかり置いて、事業を伸ばしてもらえる状態をつくっていきたいです。
一方で、新しい事業もつくらなければいけません。今は新規事業をつくれる人間が僕しかいないので、既存事業を誰かに回してもらえる状態をつくることが次のステップだと思っています。
新田様は、将来的には100億円規模への成長も視野に入れているといいます。事業を生み出すフェーズから、事業と組織を同時に育てていくフェーズへ。NITACOは今、まさにその転換点に立っています。
セカマチで期待したのは、「顧客を持つ支援者」と一緒に課題を解決すること
こうした事業成長を見据え、新田様は「セカマチ」に課題を登録しました。
―セカマチでは、どのような出会いを期待していたのでしょうか。
新田様:
販促の面で、税理士さんや銀行さん、コンサルタントの方など、自社だけではなかなか出会えない方とつながれたらと思って登録しました。
単純に紹介してもらうだけではなく、一緒にお客様の課題を解決していく。販促でもあり、一緒に課題解決をするような関係がつくれたらいいなと思っています。特に紹介は強いので、建設業のお客様をすでに持っている方とつながれるのは非常にありがたいですね。
NITACOが期待しているのは、「営業先を紹介してくれる人」だけではありません。既に企業との接点を持ち、顧客の経営課題を理解している支援者と組むことで、NITACOの持つ建設業の知見やAI・BPOの力を掛け合わせ、一緒に顧客企業の課題を解決していく。そんな関係です。
一度のマッチングで終わらず、「誰と出会いたいか」を見つめ直す
セカマチへの課題登録後、NITACOには支援者からコンタクトが届き、マッチングも成立しました。一方で、今回のマッチングは、すぐに具体的な取り組みへ進んだわけではありません。
―実際にマッチングを経験してみて、改めてどのような支援者と出会いたいと感じましたか。
新田様:
改めて考えると、当初は特に銀行さんとつながれたらいいなと思っていたんです。銀行の担当者さんとつながって、一緒に販促をしたり、それぞれのお客様の課題を一緒に解決したりできたら面白いと思っていました。一方で、個人で活動されている支援者の方だと、お持ちのお客様の層や数によっては、僕らが期待していた販促の面で一緒に取り組める範囲が限られてくるかなと感じています。
そう考えると、建設会社のお客様をすでに持っている金融機関や支援者の方とつながれると、より具体的な取り組みにつながると思っています。
NITACOが求めているのは、自社の事業と掛け合わせられる顧客基盤や専門性を持つ相手との出会いです。また、新田様は、支援者からコンタクトを送る際にも、事業者の課題を事前に読み込んだうえで具体的な提案をすることが、次の対話につながりやすいと話します。
新田様:
以前、別のところから提案を受けた時に、僕らのサービスをちゃんと見たうえで、「ここをこうしたらもっと良くなる」と具体的に提案してくれた方がいたんです。すごく熱量もあって、「絶対に伸ばせる」というくらいの勢いだったので、それなら一度話を聞いてみようと思って返信しました。
事業者が公開している課題を起点に、「自分ならこの部分を支援できる」「こういう方法なら一緒に取り組める」と具体的に伝える。そうしたコンタクトこそ、次の対話を生み出すきっかけになりそうです。
今、求めているのは「販路」「採用」「システム開発」をともに担う仲間
NITACOが次の成長に向けて求める支援は、大きく広がっています。一つは、これまでと同様、建設会社との接点を持つ金融機関や士業、コンサルタントなど、販路開拓をともに進められる支援者です。さらに、会社の成長に伴って採用の重要性も増しています。
新田様:
採用は今かなり力を入れているので、HR領域や人事の方にはぜひ力を借りたいですね。また、AI関連の問い合わせが増える中で、開発やソフトウェアについて専門知識が足りない部分もあります。そういったシステム周りの知識を持つ方ともつながりたいです。
新田様が挙げたのは、HR・人事、販路開拓をともに進められる支援者、そしてAI・システム開発領域の専門家でした。「販路」「採用」「システム開発」。100億円という次のステージを見据えるNITACOにとって、求める支援者の幅もまた広がっています。
「当たり前の暮らしを止めない」。そのために、建設業界に100万人分の労働力を創る
NITACOが建設業界にこだわる理由は、単に市場が大きいからではありません。人が減り、高齢化が進む一方で、橋や道路をはじめとする社会インフラは老朽化していく。その先に新田様が感じているのは、私たちが今享受している「当たり前の暮らし」が維持できなくなる可能性です。
新田様:
30年後を考えたときに、今まで通り普通に生活できない可能性があると思っています。だから、当たり前の暮らしを維持するために、僕たちは「建設業界に100万人分の労働力を創る」というミッションを掲げています。これまでは、人が業務を代行してきました。次はAI。その先にはロボティクスもあると思っています。人が足りないという問題を、徹底的に解決していく会社にしていきたいです。
人を増やすだけではなく、BPOで人の仕事を支え、AIによって生産性を高め、その先ではロボティクスも活用する。NITACOが目指しているのは、建設会社向けの一つのサービスをつくることではありません。建設業界から失われていく労働力そのものを、さまざまな方法で補っていくことです。そして、その先にあるのが「当たり前の暮らしを止めない社会」です。
新田様:
その当たり前の暮らしを止めない社会をつくりたい。そのために、建設業界に100万人分の労働力を創る。私も従業員も、その思いで取り組んでいます。BPOから始まり、AI、そしてその先へ。NITACOの挑戦はまだ途中です。
現在NITACOは、セカマチで自社の挑戦課題を公開し、新たな支援者との出会いを求めています。建設業の顧客基盤を持つ金融機関・士業・コンサルタント、販路開拓をともに進められる方、採用・HR領域の専門家、AI・システム開発を支援できる方。「この課題なら自分たちの強みを生かせる」と感じた方は、セカマチからコンタクトを送ることで、NITACOの次の挑戦に関わる一歩が始まるかもしれません。
成長加速マッチングサービス「セカマチ」とは
事業の拡大など新しい挑戦を考えていても、「どこに相談すればいいのか分からない」という悩みを抱える事業者は少なくありません。一方で、企業を支援する専門家にとっても「支援を必要としている事業者となかなか出会えない」という課題があります。
その両者をつなぐために、中小企業庁が立ち上げたのが成長加速マッチングサービス(通称:セカマチ)です。
事業者は、セカマチで自社が取り組みたいテーマ(資金調達・事業承継・経営相談)を登録すると、国が認めた支援者(金融機関や認定支援機関)から相談の申し出をうけることができます。
サービスの役立つポイント
事業者に役立つポイント
●取り組みたいテーマ(挑戦課題)に対して、解決可能な支援者から直接コンタクトを受けられる
●金融機関、投資機関、認定経営革新等支援機関など、国が認めた支援機関のみが登録しているため安心
●情報公開する支援者の範囲を選べるため、希望する支援者に限定してアプローチを受けられる。
支援者に役立つポイント
●中小企業庁の運営するサービスで安心
●約50,000社の事業者が登録しており、無料でコンタクト可能
●事業者の財務データや基本情報に加え、事業者の取り組みたいテーマ(挑戦課題)の具体的な内容を確認できる
●市区町村レベルでの事業者検索や、事業者が取り組みたいテーマ(挑戦課題)の種類(資金調達/事業承継/経営相談)の検索が可能で、自身の専門性に合った事業者に出会える

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